みんな読んで!『日本の「運命」について語ろう』
浅田次郎さんの『日本の「運命」について語ろう』、いい本です!
私自身、日本史って、若い頃、おもしろくなかったんだけど、 おもしろかろうがつまらなかろうが、 「自分の国の歴史を知らない」って、「なんで?」って、 もう30年前、外国人に聞かれて「はっ!」としたことがあったんだ。 20代の後半、何ヶ月かオーストラリアに行っていたとき、 ブリスベンから近いモートンアイランドっていう島のまわりに沈没船があって その沈没船は、あとから知ったことだけど、 わざと、波をおだやかにするために置かれた物だったんだけど、 そのときはそんなこととはつゆ知らず、 モートンアイランドのユースホステルでの夜、そこに集まってた人たちに、 「あれってなにか戦争の時の沈没船?」 って、聞いちゃったんだ。 そこから、自分の無知に、自分が驚いた。 外国人A 「その戦争って、第二次世界大戦?」 私 「わからないけど、なにか、戦争の跡なのかなって?」 外国人B 「第二次世界大戦のとき、日本はオーストラリアまで来たの?」 私 「?????」 外国人C 「日本はオーストラリアの味方でしょ?」 外国人A 「敵だったんじゃないの?」 私 「?????」 外国人ABC 「知らないの?」 私 「・・・・・」 自分の国の歴史を、こんなにも、私はなにも知らないんだなって、 ほんとにそのとき、驚いて、 英語がよくわからないから答えられないような(実際そういう面もあったから・・・)そういう感じで、話題は別のことに移っていったんだけど、 たぶん、そのとき、もう20代の後半にもなって、初めて、 自分の国の歴史を知らない「不思議」に、私は、気づいたのでした。 事実としては、 日本とオーストラリアは、第一次世界大戦のときには、ともに「連合国」として参戦し、日本の軍艦がオーストラリアの軍隊を護衛したりもしていたそうで、 それが、第二次世界大戦のときには敵国となり、 1942年、シンガポールの英国軍基地を攻略した日本は、多くのオーストラリア人を捕虜にして収容所に入れ、その収容所での捕虜の扱いはひどくて、多くのオーストラリア人が亡くなったそうです。 さらに、オーストラリアへの空襲や潜水艦による攻撃も行って、 医療船が撃沈されるなどの事件もあったんだそうです。 そんなこと、なにも知らないまま、オーストラリアに行ってしまった。 みんな親切だったけど、日本人に対して憎しみを持つ人だっていたわけで、 そういうことを、なにも知らないって、あまりにも無知だった自分に、 ほんと、驚きました、あのときは。 どうしてそんなにも自分が無知なのかを考えたとき、 小学校・中学校・高校を通して、「日本史」で、そういう近世・近代・現代の歴史を、習っていないんだよなあって、思った。 「日本史」の授業は、縄文時代だ弥生時代っていう昔の話から始まって、 江戸時代か、せいぜい明治維新くらいで時間切れになっちゃって、 「あとは教科書を読んでおくように!」みたいな感じで終わっちゃってた。 浅田次郎さんは、そのことについて、理由は2つあると書いていらっしゃる。 「ひとつは説明しにくい歴史であるということ。もうひとつは大学入試での出題頻度が低いということですね。そんな理由で、日本の近代史は途中で終わってしまう。しかしこれはとんでもないエラーでした。 もっとよくないのは、今、高校で日本史は選択科目です。これはどういうことでしょうか。自分が生まれて育った国の歴史を勉強しなくていい、知らなくていいなど、世界中どの国を見渡しても、ただの一国もないはずです。 自国の歴史を教えないのは恐ろしいことです」 はい、ほんとうに、そう、思います。 私も、もう30年以上前のことですが、高校で、日本史を選択しませんでした。 だからなおさら、無知だったのです。 20代後半になって初めて、その無知に、気づいたのです。 そんな、歴史を知ることの大切さを、いろいろな角度から「話して」くれているのが、この本です。 いくつかのテーマにそって全国各地で行われた講演を、活字化したのだそうです。 読みやすくておもしろいけど、すっごく大切なことが書いてある。 ほんとにほんとに、大勢の方に、読んでいただきたいです。 日本の「アメリカ化」は第二次世界大戦の敗戦によってもたらされたものではなく 「黒船」によってアメリカを「最恵国待遇」の外国にしたことから始まっているというのも、興味深い指摘でした。 日本は、江戸後期から、明治・大正を通じて、アメリカの影響を受けてきたのですね。 当時、なぜ、近くのロシアがアメリカに遅れをとったのかというと、 ロシアはそのときクリミア戦争の真っ最中で、極東どころではなかったのだそうです。 世界史も、日本史も、こう考えると、つながっている。 あはは、あたりまえのことですけど、なんか、「授業」ではつながらなかった。 歴史教育のありかたを、考え直していただきたいですね。 あと、すっごく印象に残ったこと、1つ、覚え書き。 日本が、アメリカ化してくるなかで、捨ててしまった大事なものが、 中国にあるということ。 「孝」の精神。 とにかくお年寄りを大事にしようという精神が中国には行き届いていて、 いろいろな政策がかわっても、この精神はいまに受け継がれているという話。 日本にもかつては中国と同様に「孝」の精神があったけど、 第二次世界大戦後、アメリカの影響が強すぎて、その精神が失われた。 アメリカは、パワーが美徳とされる社会だから、パワーが衰える「老い」が嫌われる、「老い」に対する否定的価値観が根底にある。 子供は独立して「家」単位ではなく「夫婦」単位で構成されるから、夫婦の一方が欠けたときには、一人の孤独な老後を迎える。 いま、まさに、日本も、こういう段階に入ってきてますよねえ。 自分自身、アメリカ化されたなかで育ってきて、 実際、いま、夫婦、二人で住んでいて、どちらかが先に逝けば一人になる。 そういう、一人を、「孝」の精神で支えられたら、高齢社会のいくつかの問題は解決しそうです。 多くの方に、ぜひぜひ読んでいただきたい1冊です!!!
by ririe_EX
| 2015-03-01 00:07
| Books
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